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このブログ記事は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません

20%ルール

「20%ルールをうちでもできないかなあ」

と隣の先輩が言った。


20%ルールとは、いわずもがなGoogleなんかで仕事とは別のプロジェクトをあてる有名なアレだ。色々バリエーションはあるようだが、ある一定時間通常の業務とは全く関係のないプロジェクトを、休憩時間や終業後ではなく、勤務時間中に充てられるという制度をさす。現在は状況は違っているようだが、その昔Googleや他のスタートアップが導入し、イノベーションを促進したとか、してないとか。

従業員側からすると相当魅力的な制度のように思える。もし現時点であまりプロジェクトと関係ない事をすると上司には不真面目に見られてしまう。Webアプリを内製している我々にとっても、いろいろ堂々と実験ができるわけで、たしかにかなり興味をそそられる。

実は導入を試したことはある。

厳密には今の組織ではないが、前身の組織で取り入れたチームがあった。マネジメント側にとっても、20%ルールを取り入れることは結構容易い。直属の上司が単にそれを容認すればいいだけのはなしだ。しかし、うまくいかなった。理由は、そのルールを取りいれても仕事をしてしまうためだ

不思議なことに20%ルールがあっても、そもそもその制度を使う社員がいなかったのだ。その理由をなんとなくサボっているように見えてしまうためなのかとマネジメント側は考えた。そこで、時間を固定し、ある曜日のある時間帯は別プロジェクトを行なうこと、と制度を改善したが、別の部署からの問い合わせ対応などで潰れてしまっていたり、優先度の高いタスクを消化してしまい、また社員側も単に就業時間が伸びてしまうだけだ、などの意見が出、結局長くは続かなかった。

そもそも我々の順番が逆であったのだ。この制度の有無にかかわらず、優秀なプログラマは勝手に何かを作ってしまうものなのだ。

会社としても、もし社員が勤務時間外に有用なプロジェクトを持ってしまえば、その優秀な人材のリソースはそのプロジェクトに消え、転職・独立のリスクが高まるし、知的財産もその会社は主張しにくい。そうなってしまう前に勤務時間中にサブプロジェクトに没頭させるほうがよほどその会社にベネフィットがある。リスクを逆手にとり、制度化してしまうのが、この20%ルールなのだ。

実態がない中、もなくルールだけ取り入れても仕方がない。

旧態然とした我々には勝手に自分のアプリを書くような不真面目な社員はおらず、そのため、20%の枠組みを入れても不真面目にはなれなかったのだ。仮にこの制度を取り入れたとしても大きくなにかがかわることはないだろう。


そんなことを考えながら、

「そんなのがあったら、いいですねー」

と答えたのだった。